ドロミテの見どころ・ハイキングを満喫!おすすめモデルコース

トレ・チーメ ヨーロッパ

イタリア北部、東アルプスに位置するドロミテは、たくさんの山と湖、そして数えきれないほどの登山コースがあり、山好きにはたまらない場所といえます。
また、散歩気分で楽しめるトレイルから、本格的なロッククライミングやマウンテニアリングも体験できるエリアもあり、様々なアクティビティを楽しむことができます。そのため、毎年世界中から多くの人が訪れる人気の観光地ともなっています。

エリアが広範囲なため、キャンピングカーなど車を借りて移動しながらハイキングを楽しむ人が多いのですが、私のように公共交通機関だけでも不便なく周ることができます。

今回は、私が2024年7月に7日間(移動を含めると9日間)で訪れたドロミテの街といくつかのハイキングコース、移動方法をご紹介します。
たくさんのオプションがある中で、見所を押さえつつ、短期間でかつ公共交通機関のみで実現できるプランなので、ぜひドロミテへの旅行を計画している方は参考にしてみてください。

前半:北ドロミテ

前半の4日間は、オーストリアとの国境の近くにある町ブルネック/ブルニコ(Bruneck/Brunico)をベースとして、北ドロミテエリアを周ります。

このドロミテのある南チロルでは、地名がドイツ語とイタリア語の2つで表記されています。
例:ドイツ語ではブルネック(Bruneck)、イタリア語ではブルニコ(Brunico)
初めはなかなか覚えられないかもしれませんが、どちらの表記も理解しておくと後々混乱を避けられます。

ここからスタートした理由は、インスブルック発着の飛行機でドロミテ入りすることになったためです。
インスブルックはオーストリアの西側にある街で、ここも世界中から山好きが集まるホットスポットとなっています。
ここからイタリア・ドロミテには電車で数時間で行くことができるので、インスブルックが個人的に好きだったこともありますが、南チロルの山の中を電車で通るという点も魅力的だったため、この方法でドロミテ入りすることに決めました。

0日目:移動日・ブルネックへ

インスブルック空港にお昼頃到着し、そこからバスで20分程で市内・鉄道のあるインスブルック駅に行くことができます。

ここから電車でブルネックに向かいます。
インスブルックからまずはフォルテッツァ/フランツェンフェステ(Fortezza/Franzensfeste)までÖBB Railjetで向かい(約1時間20分)、ローカル線で1877号に乗り換えてブルネック駅で降ります(約30分)。

電車は直前でもチケット購入ができますが、夏などのピークシーズンは混み合っていて、席の予約が取れない場合もあるので、できるだけ早めに購入しておく方が快適に移動できます。
ÖBBのサイトからオンラインで購入できます。

このフォルテッツァとブルネック間の電車が工事の為、2025年12月まで停止しているとのことです。
代わりにブレッサノーネ/ブリクセン(Bressanone/Brixen)からバスが出ているとのことなので、インスブルックからはフォルテッツァではなく、ブレッサノーネに向かう必要があります。

引用:IDM Südtirol ウェブサイト
https://www.suedtirol.info/en/en/information/mobility-and-barrier-free-accessibility/traffic-restrictions/traffic-restrictions-railway

ブルネックの町は飲食店やスーパーなども充実していて、公共交通機関も比較的頻繁に通っているので、移動がしやすいという点からも、ベースとして適しているといえます。

私が宿泊した宿の人もとても親切だったので、おすすめです。

Residence Haus Ragen
https://www.booking.com/hotel/it/residence-haus-ragen.en-gb.html

1日目:トレ・チーメ

ハイキング初日はなるべくハードなコースを避けて、トレ・チーメ周辺を歩くことにしました。

まずはブルネック駅より電車で約30分のドビアッコ/トブラッハ(Dobbiaco/Toblach)まで向かい、バス444番に乗り換えて約50分でハイキングのスタート地点、Rifugio Auronzoという山小屋のある場所に到着します。

444番バスは6月中旬〜9月までの運行となっているため、期間外での旅行の際は注意が必要です。
また、シーズン中は大変混み合うため、事前にチケットを購入しておくことをおすすめします。
私も知らずに乗ろうとしたところ、満席だと言われ予定していた時刻のバスには乗れませんでしたが、幸運にも次のバスに空席があったため、その場でチケットを購入し乗ることができました。

トレ・チーメに近づくにつれて多くの車両でかなり道路は混み合っていましたが、バスは専用レーンで入場することができたので、この場合は車よりバスの方が有利だと思いました。

バスを降りてまず向かったのは、カディーニ・ディ・ミズリーナ(Cadini Di Misurina)山群を望むことができるビューポイント。
バスが停まった山小屋の前から片道1.5kmくらいのところにあるため、トレ・チーメへ行くなら合わせてチェックしたいポイントです。

カディーニ・ディ・ミズリーナ ビューポイント

それほど傾斜の激しい道ではなかったのですが、一部崖のかなり狭い道を通らなければならず、よそ見すると滑落するのではと思うほどハラハラしたので、油断は禁物です。

ここで写真を撮る人がたくさんいて行列ができるほどなので、なるべく早く到着することをおすすめします。

スタート地点へ戻り、トレ・チーメ(Tre Cime)の周りを一周するコースを歩きました。
山小屋から10km程の道のりで、一部傾斜もありますが、全体的にフラットなコースなのでお散歩気分で参加しているような人もいました。

360度様々な角度からトレ・チーメの峰を眺めることができ、また周囲の見晴らしが良く、歩いているだけで心地のよいトレイルでした。

トレ・チーメ

2日目:ブライエス湖、クロダ・デル・ベッコ

ハイキング2日目は、絶景スポットとしても人気のブライエス湖(Lago di Braies)からマルガ・フォレスタ(Malga Foresta)、リフュジオ・ビエラ(Rifugio Biella)を経由して、クロダ・デル・ベッコ(Croda del Becco)を登頂するコースに挑戦しました。

ブライエス湖へは、ブルネックから電車でニーダードルフ/ヴィッラバッサ(Niederdorf/Villabassa)まで約30分、442番バスに乗り換えて約20分程で到着します。

この南チロルエリアでは公共交通機関で使えるパスがあり、このゲストパスが宿泊施設で無料でもらえることがあります。対応の宿泊先は以下ウェブサイトで確認できます。
また、適用されない路線などもあるので、事前にこちらで調べておくと安心です。

公式ウェブサイト
https://www.suedtirol.info/en/en/information/suedtirol-guest-pass

ブライエス湖は人気の観光地であり、湖の側に宿泊施設もあるため、朝から多くの人で賑わっていました。
この日は天候にも恵まれ、エメラルドグリーンの湖を綺麗に見ることができました。

ブライエス湖

まずは湖に沿って歩いていき、マルガ・フォレスタの山小屋へと向かいます。
出発地点から1kmくらい歩いたところで、湖側ではなく山へと入っていく分岐に差し掛かります。そこから緩やかな登り坂が続き、1.5kmくらいのところで山小屋が見えてきます。

マルガ・フォレスタ

ここを山小屋の手前、左手に続くトレイルを進んでいきます。この山道は、所々で渓流の脇などの岩場があったり、足場が安定しない砂利場などがありました。

クロダ・デル・ベッコへのトレイル

林の中から山頂へ向かうにつれて景色も変わり、途中で見晴らしの良い草原に出ることもあり、上りが続いて辛い場面もありましたが、休憩しながらも歩き続けることができました。

歩き続けること、7km程でリフュジオ・ビエラの山小屋が見えてきます。

ここから1.5km、470m上った先に、クロダ・デル・ベッコの山頂があります。

クロダ・デル・ベッコ 山頂

ここからブライエス湖が見下ろせて、ドロミテの山々も望むことができるので、さらに登頂後の達成感を味わうことができました。

全長18.5km、1,600mの上りのこのコースはあまり初心者向けではないかもしれませんが、素晴らしい景色を眺められるこのブライエス湖は、ドロミテを訪れるなら絶対にプランに入れておきたい場所の一つです。

3日目:アンテルセルヴァ湖

この日は宿の人からおすすめされた、アンテルセルヴァ湖(Lago di Anterselva/Antholzer See)に行くことにしました。
ブライエス湖よりも混んでいないため、地元の人はこちらの方に行くことが多いとのことでした。
また、ここはブルネックから431番のバスで45分程度で着くので、アクセスしやすいのも決め手になりました。

この湖はブライエス湖と同じくらいの大きさで1周すると1時間くらいかかります。
こちらの湖の色はターコイズに近く、とても綺麗でした。

アンテルセルヴァ湖

また、こちらの方が所々に日光浴用のベンチがあったり、ゆっくり過ごすのにぴったりでした。

余談ですが、2026年冬季オリンピックでバイアスロンの競技が行われる会場がここアンテルセルヴァとなっているようで、私が訪れた2024年7月には工事の真っ最中でした。

後半:西側(セチェーダ、カティナッチョ)

後半はベースをボルツァーノ(Bolzano/Bozen)に移し、西側のセチェーダ山、カティナッチョ山群をハイキングします。

4日目:移動日・ボルツァーノへ

ブルネックから電車に乗り、ブレッサノーネまで約50分、乗り換えて約30分程でボルツァーノに到着します。

ボルツァーノはブルネックより大きな街で、ファッションブランドのお店が並んでいたり、レストランやお土産屋さんもたくさんあり、観光地として栄えているようでした。

ボルツァーノ

また、カラフルな建物と、どこの通りからも山が背景に見えるところが素敵な街でした。

ボルツァーノ

美味しいイタリアンも食べられます。

ボルツァーノ レストラン

5日目:セチェーダ

西側初日はSecada(セチェーダ)に向かいます。
ここも有名なスポットの一つで、山頂からのグラン・フェルメダ(Gran Fermeda)、ガイスラー山群(Geisler Alm)の眺望はドロミテを代表するものの一つです。

ボルツァーノから350番バスに乗り、約1時間程でオルティセイ(Ortisei/Urtijëi)に到着します。
バスを降りて10分ほど歩いたところに、ケーブルカー乗り場があるので、これでセチェーダの山頂付近まで上ります。

ピークシーズンはこのケーブルカーも混み合う為、早めにチケットを購入しておくことをおすすめします。
オンラインサイト:https://www.seceda.it/en/tickets

このケーブルカーからの景色も綺麗でした。

セチェーダ ケーブルカー

ケーブルカーを降りて、5分程上っていくとビューポイントに到着します。

セチェーダ

この光景は世界でも唯一無二、圧巻でした。

この日はこのセチェーダを発着点として、ピエラロンジア(Pieralongia)、フィレンツェ(Firenze)、トロイアー(Troier)の山小屋を経由するコースにしました。

セチェーダのビューポイントからグラン・フェルメダを左手に2kmほど進むと、ピエラロンジアの山小屋へに到着します。多少の上り下りがあるものの、全体的にフラットな道のりでした。

セチェーダ近辺は観光客が多い為混み合っているのですが、この辺りまでくるとだいぶ人通りも減り、周囲を山に囲まれた静かで穏やかな山道になってきます。

ピエラロンジア 山小屋

小屋を過ぎて1.7km程進むと分岐があるので右手に曲がり、さらに2kmほど進むとフィレンツェ小屋に到着します。ここまでの道は下りが続きます。

フィレンツェ小屋からはフルチェッタ山(Furchetta)がとても綺麗に見えました。

フィレンツェ 小屋

この後はセチェーダ方面へ向かうのですが、3.5kmほど上り坂が続きます。
所々分岐がありますが、2.5km先にあるトロイアー小屋を通ってグラン・フェルメダの前まで上り、セチェーダのゴンドラ乗り場へ戻ります。

このプエツ・オードレ(Puez-Odle)エリアには他にもたくさんのハイキングトレイルがあるので、セチェーダを訪れる際には少し足を伸ばしてみることをおすすめします。

6日目:レノンの土柱

この日は宿の人から “ボルツァーノ名物” と聞いて、レノンの土柱(Piramidi di Terra del Renon)を見に行きました。

まずはボルツァーノの駅、バスターミナルの近くにあるケーブルカー乗り場から、ソープラボルツァーノ(Soprabolzano)へ向かいます。

このケーブルカーからの街の眺めも良いです。

レノン ケーブルカー

このケーブルカー乗り場を発着とし、レノンの土柱を経由する6.4km程のコースを歩きました。

ケーブルカーを降りると、鉄道の駅や線路があり、その先には宿泊施設などの建物が並んでいます。
しばらく線路沿いの道路をまっすぐ歩いていきます。

ソープラボルツァーノ

1.5km程進んだところでUターンし、牧場のような草原を抜けて林の中へと入っていきます。
2.5km程、教会などを経由しながら歩いていくと、看板が出ているのでその先を進むとレノンの土柱はあります。

レノンの土柱

この不思議な形の柱は、氷河の後退時の侵食によって地表が削られて自然とできたものだそうです。
(詳しくはこちらのWikipediaページ「レノンの土柱」をご参照ください)

この先1.2km程林の中を進み川を越えていくと、ケーブルカー乗り場へと続く道路に出ます。

お散歩・観光気分で気軽に楽しめるコースなので、ボルツァーノに滞在する際はぜひチェックしておきたいスポットです。

7日目:ヴァジョレット・タワー

ハイキング最終日も有名なスポットの一つ、カティナッチョ山群(Gruppo del Catinaccio)にあるヴァジョレット・タワー(Torri del Vajolet)を眺められるコースを歩くことにしました。

まずはボルツァーノから180番バスに乗り、ヴィーゴ・ディ・ファッサ(Vigo di Fassa)に向かいます。

途中で、カレッツァ湖という綺麗な湖の前を通ります。

カレッツァ湖

約1時間10分程でヴィーゴ・ディ・ファッサに到着、バスを降りて5分くらい歩いた先にケーブルカー乗り場があるので、これでチアンペディエ(Ciampedie)まで上ります。

※これも事前にチケットを購入しました。
公式サイト:https://www.fassa.com/en/ski-lifts-slopes/summer-lifts

ケーブルカーを降りると、眺めのよい鞍部地点に到着します。
数百メートル以内にチアンペディエ小屋(Rifugio Ciampedie)、ネグリテッラ小屋(Rifugio Negritella)があり、その前を通って林の中へと入っていきます。

しばらくフラットな道が続き、3km程歩いていくとガルデッチア小屋(Rifugio Gardeccia)が見えてきます。

ガルデッチア小屋

ここからもカティナッチョの山々がとても綺麗に見えます。

この先、徐々に傾斜が出てくる道を2km程進んでいきます。
歩き進めているうちに、ヴァジョレット・タワーも徐々に近づいてきます。

ヴァジョレット塔群

後半300m程、少しきつめの傾斜を上り切るとヴァジョレット小屋(Rifugio Vajolet)があります。

ヴァジョレット小屋

ここからさらに足を伸ばして、アルベルト小屋(Rifugio Re Alberto)まで上ります。
ここから1kmほどの道のりですが、後半は傾斜もきつくなり、岩場や縄場などがあるので、初心者向きではないかもしれません。

上り進めていくとヴァジョレット・タワーがくっきりと見えてきます。

ヴァジョレット

アルベルト小屋に到着。

アルベルト小屋

ここで一休みして、また岩場を慎重に下っていきます。

また、帰りに寄ったヴァジョレット小屋のシュトゥルーデルが美味しかったので、おすすめです。

シュトゥルーデル

アルベルト小屋まではなかなか急な道でしたが、ヴァジョレット小屋まででもカティナッチョの山々を眺めながら気持ちよく歩けるコースなので、ぜひプランに入れておきたいスポットです。

まとめ

ドロミテは広範囲で、たくさんの登山コースやアクティビティを楽しむことができるため、短期滞在ではプランを立てるのが難しいと思われがちですが、行きたいスポットを絞って計画的に行動することで、1週間前後でも複数のスポットを訪れることが可能です。
また、ハイキングも自分にあったコースを選ぶことで、無理なく楽しむことができます。

ドロミテ、ぜひ将来の旅行先候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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